黒い龍は小さな華を溺愛する。


「……あー、でもそれやったら、あの人絶対動くよな」

軽い口調なのに、含んでいる意味が重すぎる。

「喧嘩ですむと思う?」

常盤くんの顔が浮かぶ。

怒って、無理して、血を流す姿。

「何する気……?」


男は一歩だけ近づいて、小声で言う。


「賢い子なら、どっちに付けばいいか、わかるはずだけど」

全てを悟ってるような目つきで。

「どっちに付くって……」

「常盤か、俺らか」

常盤くんって決まってるのに言えなくて。

「俺らのリーダーが、あんたのこと気に入っててさぁ」

「誰かも知らない人の味方になるなんてありえません、脅すなら……警察にいいますよ!」

手が震えている。

自分でもここまで言えると思わなかったけど、常盤くんのことが頭に浮かんで自然と声が出た。

じっくりと、近くで見られ鳥肌が立つ。

「確かに、気に入るのもわかるな。ただ可愛いだけじゃねぇ、その強気なとこがまたいい」