黒い龍は小さな華を溺愛する。


心配そうに玄関まで見送ってくれた。

優しいなぁ。

やっぱりそういうところ、篠原さんに似てるんだな。

そんなことを思って鳳凰の裏口から出た。

少し人通りの少ない路地を抜ければ、すぐに大通りだ。

足早に歩いていると突然声を掛けられた。


「……一人?」

低い声に心臓が止まりそうになるくらい驚き、足が止まる。

街灯の陰から現れたのは、見覚えのない男だった。

でもその視線だけは、どこかで感じたことある。


「誰……ですか?」

声が震えないように、必死に抑える。

男はスマホをいじりながら、興味なさそうに言った。

「常盤の女だろ?……写真通りだな」

――写真?

背中に冷たいものが走る。

「な、何を……」

「安心しなよ、今日は触らねぇ」

そう言って笑った顔が、逆に怖くて。

私はポケットの中のスマホを取った。


「言えばいいんじゃん、常盤に」


一瞬、心が揺れた。

でも次の言葉で、全部崩れ落ちた。