黒い龍は小さな華を溺愛する。


水族館デートの日。

目覚ましアラームが鳴るより少し早く目を覚ました。

まだ薄暗い部屋の中で、小さく息を吸う。

「……よし」

そっと部屋の扉を開けて母の部屋の方を見ると、部屋の扉は開けっ放し。

母は昨夜から帰ってきていない様子だった。

彼氏とより戻ったのかな……。

でもお弁当を作るのには都合がいい。

私は急いで着替えてお弁当作りに取り掛かった。


慣れない手つきで作ったお弁当は、形が不恰好な卵焼きや少し焦げてるから揚げもあったり。

なんか見た目がいまいちだけど……。

それでも何度も味見して、詰め直して、ようやくバッグに入れた。

今日は特別だから。

服もいつもより少し大人っぽいワンピース。

鏡の前で髪を整えながら、胸がそわそわする。


――常盤くん、どんな顔するかな?



しかし待ち合わせ場所に現れた常盤くんは、私よりもっと輝いているわけで。

常盤くんを見た瞬間、思わず息を呑んだ。