「小さい頃、ブロックで家を作るのが好きだったんです。間取りとか家具の配置とか考えて、手作りでベッドとか机とかも作ったりして。それが楽しくて、

中学の頃は住宅会社の広告とか集めて眺めるのが好きでした。 

間取りとかパースを見てはワクワクしてました。だから自然と建築を目指す様になりました。」

要は驚く。自分と同じ様な動機だと。

「いいねー。

中山紗奈ちゃん、純粋に建築が好きなんだね。嬉しいなぁ。」
白石も嬉しくなってそう言う。

「そんな生徒を持てて僕も幸せだなぁ。
ちなみに、松島くんの動機は?」

「俺っすか?
俺はなんとなくカッコいいからです。
肩書きもカッコいいしモテそうなので、
後、親が大工だったので、その影響かもです。」

動機もチャラいなと要は呆れる。

「その気持ち、ちょっと分かるなぁ。
僕も初めは不純な動機で建築学科に入ったんだ。
学ぶうちにのめり込んで、気が付いたら教える側になってたけどね。」

白石は決して不真面目な教師ではない。
准教授になっただけあって、建築に関する知識や発想力は素晴らしく要も一目置いている。
ただ、無類の女好きでそっちの面に関してはトラブルが絶えない為、要の信用を得る事は難しい。