「紗奈ちゃん見っけ。
俺、紗奈ちゃんの横がいい。」
さっきのチャラい二人組、純也と周平が紗奈の隣の1つ空いた椅子を取り合って揉める。
「ガキじゃあるまいし、辞めなよねー。
紗奈がびっくりしてるから、
静かにしないと嫌われるよ。」
晶がすかさず2人を止めて、大人しくさせる。
「紗奈はあんた達みたいなチャラいの苦手なんだって。」
ズバっと言われて落ち込む男子2人。
「静かになったから、ほっとこ。」
「晶ちゃんカッコいい。」
紗奈は晶に称賛の拍手を贈る。
「これくらいビシッと言わなきゃ付け込まれるから、気をつけな。
紗奈はふわふわしてるから、心配になるよー。」
首を傾け考える紗奈。
ふわふわしてるとは?
家ではしっかり者の長女で通ってるんだけどなぁ。
「あっ、北原先生きたよ!!」
晶の声で我に返り、一気に緊張する。
昨日、大泣きした失態があるしちょっと目を合わすのも恥ずかしい。
あっ、でも見た目変わったから私って気付かないかも。
そう思うと若干落ち着きを取り戻す。
やっぱり背が高いなぁ。
紺のスリーピースを着こなした先生はスタイルの良さが垣間見える。
「スタイルいいのに、
あの黒縁メガネとボサボサの前髪やめた方がいいね。なんか勿体無い感じ。」
晶が小声で素直な感想を述べる。
「あの、感じがいいんだよ。
外見よりも中身が素敵なの北原先生は。」
「えっ。紗奈ちゃん、北原先生みたいなのがいいの?
辞めときなよ。真面目でつまらないよ。授業も淡々としてるし。」
隣でこっそり聞いてた、純也が言う。
「あんたがそう言う権利は無いの。
紗奈が憧れてるんだから、外野はつべこべ言わない!」
晶に叱られて純也はまた、シュンと大人しくなる。



