「嫌なら思いっきり突き放して引っ叩いて。」
先生が笑いながら言う。
ヒックヒックと紗奈は泣きながら要の腕の中でじっとしている。
「どうする？
本当にキスするよ？いいの？」
挑発するように紗奈の顎に指で触れ、くいっと顔を上げさせる。
「そんな事、ヒック…出来るわけ無いじゃないですか、ヒック…
私だって、先生が、好きなんです。」
ポロポロ流れる涙を愛おしそうに、指で拭っていた要の手が止まる。
「えっ⁉︎」
びっくりした顔で紗奈を見る。
「…だから、…先生に迷惑かけなく無いんです…。」
瞬間ぎゅっと抱きしめられ、紗奈は心臓がぎゅっとなる。
「よかった。じゃあ決まりだ。」
「良くないですって…ダメなんです。」
紗奈は抱きしめられながら、でも突き放せずにひたすら泣くしかなかった。
