「つまり、俺は、君が好きなんだ。

君にあのバイトはして欲しくないし、出来れば俺の目の届く範囲に居てほしい。」

衝撃的な告白で、紗奈は固まって要を見つめる。

好き?私を?先生が⁉︎

何で⁉︎

「中山紗奈さん、君の心が追いつかないのは分かってる。
勝手に連れて来て、君の気持ちも無視してごめん。」
要は頭を下げる。

「だけど、思いつきなんかじゃ無く、ずっと考えていたんだ。
君をこのままほっとけないんだ。」

そう言って要はしばらく沈黙する。


「そうだな。
ここに居る理由が欲しいんだったら、この部屋の、俺の身の回りの世話をしてくれないか?
家事はまったく出来ないし、食事もほとんど外食ばっかりだ。この部屋にはほとんど寝に帰るだけだ。」

「家政婦って事ですか⁉︎」

「もちろん、
俺の事を先生じゃ無く1人の男として見てもらいたいけど、急がない。

まずは君が、身を削らずに生活して欲しいんだ。
住み込みで、3食昼寝付き悪くない求人だと思わない?」
笑いながら要は紗奈の様子を伺う。

「悪い話しじゃないでしょ?
ここに住んでる事は身内以外は誰も知らないから安全だよ。」

どう答えるべきか考える。
先生は先生で、私は生徒で、もしもバレる事があったら先生はきっと大学を辞める事になってしまうだろうし、私の為にそんな危険な事はさせられない。

「紗奈、うんて言って。」
不意に名前を呼ばれて戸惑う。

「いろいろ、考え無くていい。
紗奈は今まで1人で抱えて、頑張ってきたんだ。
もう大丈夫だから、俺の側でやりたい事だけやって欲しい。」

「そ、そんなのダメです…。先生に迷惑かけちゃう…。そんなの嫌です。」
我慢していたいろいろな感情が湧き上がって、涙がポロポロ出てしまう。

「泣かなくていい。
泣き止まないとキスするよ…。」

そう言って、要は優しく紗奈を抱きしめる。