お前を地の果てまで追いかける〜御曹司の決意

そしてその夜も陸はマンションに戻ってから私のアパートへ来た。

「腹減った、今日のメニューは何」

「今日は五目寿司よ、陸、好きだったでしょ」

「そうだったっけ、覚えてないな」

陸は何も覚えていない、何があったの、この二年の間に……

「今日は帰るね、明日の朝早いから」

「うん、大丈夫」

「夜も打ち合わせあるから、終わったらLINEするよ」

「うん」

一晩だけなのに陸がいないと思うと寂しい。

涙が出て来ちゃった。

「優里、泣いてるの?俺がいないと寂しい?」

「うん」

陸は私を引き寄せ抱きしめた。

「優里、可愛い」

二年前、別れ話を切り出された時は泣かなかった。

どうしてって、分からないけど、でもアパートに帰ってから何も考えられなかった。

明日から隣に陸はいない、大好きな陸の隣にいるのは私じゃない、知らない別の女の人。

そう思ったら涙が止めともなく溢れて止まらなかった。

一晩だけ?もしかしてこれで終わり?一瞬の幸せ?

「陸」

「優里、どうしたの?」