翌朝、巧くんは予め用意しておいた二日酔いに効くというドリンクを勢いよく喉に流し込んでいた。
……ちなみに、お兄ちゃんは熟睡中でまだ起きてこない。
「美味しい?」
「いや、めちゃくちゃ不味い」
「これに懲りたら今後は飲みすぎないようにね?」
「そうする……。長生きしなきゃなんねーし」
「えっ?」
「……だって、ずっと隣にいてくれるんだろ?」
そ、それってまさか夜中のこと……。
「覚えてるの!?」
思わず声が大きくなる。
「俺、酔っても記憶は失くさないタイプみたい」
……ということは、あのキッチンでのやり取りも覚えているわけで。
「奈子が俺を大好きで心配してくれてることは、よーくわかったら。身体には気をつけるよ」
やっぱり……覚えてた。
巧くんは酔っぱらっても記憶を失くさないタイプ。覚えておかなきゃ。
「い、言っときますけど、先に大好きって言ったの巧くんだからね?」
「俺は酔ってたけど、奈子はシラフじゃん?」
「……ず、ずるい!」
「ふっ、そんな怒んなって。どんな奈子も大好きだから」
そう言って笑う巧くんに、私もつられて笑顔になる。
これからも、ずっと。
(100歳、99歳になっても)
fin.



