「奈子と今までのように話せなくなったこと」
「………………」
「でも、奈子と同級生になって同じ教室に奈子がいるのは嬉しかったな。……確かに辛いことあったよ。でも、なんか全部ひっくるめて、俺今すげー幸せだなって思ってさ」
巧くんのその笑顔に私はグッと下唇を噛んだ。
これは悲しい話じゃない。
泣くような場面でもない。
巧くんはそんなことを望んでいない。
私はもうそのことを十分知っている。
だから、笑って言うの。
「私は巧くんと出会えて、本当に幸せで、ずっと、ずっーとそばにいたいと思ってる。だから、これからもずっと元気でいてね」
「それは俺の台詞。俺めちゃくちゃ元気だから。奈子がびっくりするくらい……そうだな、100歳まで生きるから」
「じゃあ、私も頑張って生きないと」
「奈子はおばあちゃんになっても可愛いよきっと、」
それを言うなら巧くんも。
出会ってからずっとかっこいいままだよ。
きっと、この先も。
ねぇ、巧くん。
巧くんが100歳、私が99歳になっても、こうやって仲良く隣にいようね───。



