Ⅰ編入初日

わあ!
なんておっきい学校なんだろう!
きれいな門に警備員さんはいるし、何より門から遠すぎるっ!

いけない、自己紹介しなきゃ!私の名前は白咲由姫。
彼氏である、はるちゃんに会うために西園寺学園に編入してきました。

「どうしよう、どこにいったらわかんないなぁ。。。」

「こんにちは、編入生徒は君のことかな??僕が理事長室を案内するよ」

運よく、ひとりのイケメンさんが声をかけてきてくれた。

「初めまして!白咲由姫ですっ!よろしくお願いします!」

あまりのイケメンさんで見とれているとどこかで見たことがあるような…
ええええええええ!?

「ってもしかしてふゆくん!?」

「...その呼び方をしていいのはこの世でサラだけだ、たやすく呼ばないでほしい。」

「ふゆくん私のこと忘れちゃったの!?私サラだよ!」

「っっ!じゃあその恰好は…」

「これはお父さんからの編入に際する条件で…汗汗」

じっと私のことを近づいてみてきふゆくんこと鳳冬夜。
すると突然私の付けていた眼鏡をとって目を丸くした。

「本当にサラだ!ずっと会いたかったよ!お帰り!」

感動の再開に二人でワイワイやっていると、たまたま後ろを通りかかったまたまた違うイケメンさんに見られた。というか私、睨まれた??

「邪魔だ、どけ。」

「おいおい、いくら敵だからってそんなに敵対心むき出しにしなくてもいいだろ、理事長の息子さん」

にこっと効果音が付きそうな言い方で言い返しつつ、さりげなく私を後ろに隠してくれたふゆくん。優しいなぁ。
この人が理事長の息子さん?じゃあ生徒会長なのかな??

「ふゆくん、今の人って生徒会長さん?」

「いや、いまのはnoble、サラも知ってると思うけど、そのグループの総長さんだよ。生徒会は何年も前からずっとfatalが務めているんだ。だから生徒会長は春樹だよ。朝から敵のグループの総長に会ってサラも災難だね笑」

「私は全然平気!心配してくれてありがとう!」

「じゃあ時間がないから案内するよ。ついてきて。
でも、その前にサラに話しておきたいことがあるんだ。歩きながら少し話してもいいか な?」

そう言って歩き出したふゆくん。ふゆくんの話をまとめると…

私が引っ越していしまってからはfatalは変わってしまった、
伝統を受け継ぎ生徒会を務めてはいるが逆に学校を荒らしてしまっている、
今では幹部全員が見た目で判断するような奴になっている、
それは、はるちゃんにも当てはまる、
今この変装したままの姿で会いに行くとサラだと気づく前に追い出されるかもしれない、
そして、学校中が伝説の美少女サラを探している、

というものだった。
なんかやばい状況に編入してきちゃったのかも…!
でも、せっかく会いに来たんだもん!行ってみなきゃわからないよね!
なっちゃんも秋ちゃんもきっと前と変わらずいてくれるはず!

「それでもやっぱり私はみんなに会いたい!それに、誰も気づいてくれなかった時にはふゆくんがいてくれるから大丈夫!」

「サラにそんなこと言われたら照れるなぁ。。。」

そんな話をしている間に校舎の中へと入り、だんだんと人通りが多くなってきた。
それになんだか視線を感じて怖いっ!ひそひそ何かを言われているような気もするし…

「「鳳くんと一緒にいるあの地味女誰??」」
「「汚れちゃうから離れてほしい~」」
「「しかもよく聞くと鳳くんサラ、って呼んでない??」」
「「あんな奴がサラとかありえないし、むかつくよねぇ」」

そんなひそひそ声はふゆくんにも聞こえてたみたい。

「ねえ、由姫って呼んでもいい??あまりサラってばれないほうがいいと思うんだ…」

「大丈夫だよ!よろしくね!」

ぱっとふゆくんは目をそらしてきた。昔からよくこういうことあったんだよねぇ。
嫌われちゃったかな??でもよく見ると少し耳が赤いような…

ここまで考えて考えることを放棄した私は次の瞬間、前からfatalのメンバーが歩いてきていることに気が付いた。

「春樹たちおはよう。今編入生を案内してるから先に生徒会室に行っててくれる?」

「冬夜、こんな地味女連れてて恥ずかしくないのかよ」となっちゃん。
「ほんとほんと。サラ探しもっとちゃんとしたらどうだ?」と秋ちゃん。

はるちゃんに限っては私のことをずっとにらんでいる。
ふゆくんは私を心配して見ていた。
私は泣きそうだけど大丈夫!

「じゃあ失礼するよ。」

そこでみんなとお別れになった。みんな、私に気付いてくれなかった。
ふゆくんの言ったとおりだ。私がいない間に何があったの?

「何も言い返せなくてごめんね。着いたよ、ここが理事長室。また放課後に生徒会室においで。みんな気づいてくれると思うから。」

「うん、わかった。案内してくれてありがとう。」

「こちらこそ会えてうれしかったよ。バイバイ。」

そこでふゆくんとも一度お別れをした。