「体はだいじょうぶですか? 痛いところはございませんか?」
あくまでも事務的に、淡々と話すハルくん。
「どうしてこんな所に……」
真上に向けられた水中ライト、その先に視線を向けて私は驚愕した。
「頭の上に床がある……」
よく見ると、私が座っていたのはワインセラーの上。
海面が揺れて見づらいけど、下に天井があった。
「この船は事故の衝撃で横転したんです」
「事故で、船がひっくかえったの……」
「はい」
サトちゃんとスーさんが悲鳴をあげた後、このクルーザーは事故を起こしたんだ。
でも、直後に私は意識を失ったから何もわからない。
「そうだ、みんなわっ!」
この船に乗っていたのは、私だけじゃないんだ……



