サトちゃんが扉を開けると、階段が見えた。
私を誘導するように、彼女は軽い足取りで階段を降りていく。
導かれるように後を追ってくと、船内に高級ホテルのような部屋があった。
「こんなところに部屋があるの?」
スーさんも覗き込んで驚いてるけど、階段を下りて足を踏み入れない。
「わたし、せまいところ苦手だからゴメンネ」
そう言って、顔を引っ込めてしまった。
大きな液晶テレビに冷蔵庫、ワインセラーまである。
部屋の中央にダブルベッド、誰にも邪魔されない密室のプライベート空間。
でも、私は疑問に思った。
サトちゃんが、どうしてこの大型クルーザーにすごく詳しいんだろう。
船に興味があるなんて聞いたことないし……
「そろそろ出航するみたいだよ」
合コンで会った男性が声をかけてきたけど、私は名前を知らない。
その人も含めた、男女五人を乗せてクルーザーは動き始めた。



