「億なんだ、すごい……」
顔を引きつらせた私の隣で、スーさんも驚きを隠せない表情。
「そろそろ、乗船してもらおうかな」
社長さんを目指す男性が、船に乗るよう私たちに言ってくる。
だけど、サトちゃんだけは慣れた感じで余裕の表情。
軽い足取りで船に乗り込んでしまった。
私はその様子を見て違和感を感じてる。
「まさかね……」
「どうしたのスーさん?」
サトちゃんを見ていたスーさんが、怪訝そうな表情をしていた。
そして、私に小声で話かけてくる。
「あの噂、ほんとうかな……」
「えっ、スーさん何のこと?」
私は、あの噂と聞かれても思いつかない。



