車を降り、歩いてすぐの所に目的の船が止まっていた。


「わ~、すごく大きな漁船だね」


 私の言葉を聞いたサトちゃんが、すぐに反応して言い返してくる。


「奈々ちゃん、これは大型クルーザーっていうのよ」


「そうなんだ……」


「専務の個人所有なんだって、すごいよね」


「そんなの信じられない、ぜったいに……」


 私は途中で話すのを止め、口を噤む。


「ところで、この大型クルーザーって何千万くらいするんだろう……」


 私の疑問に、サトちゃんが涼しい顔で答える。


「億らしいよ」