「聞いてどうするの?」 「えっ……」 冷たい反応に、思わず私は口を噤んでしまう。 「職業は想像に任せるよ」 「そんな……」 すれ違っていく人並み、夜のネオンと街頭が私たちを照らす。 ハルくんは、ここにいる人たちとは正反対の人生を歩んできたのだろう。 職種は分からないけど、規律正しく自分を抑えて生活を送ってきたんだ。 「奈々ちゃん、そんなに悲しい顔しないでくれよ」 「だって……」 「分かった、教えるから」 「本当に!」 嬉しくて、思わず声のトーンが跳ね上がってしまう。