──ザザ……ザザザ…………



充電をしながら頭を休めている時、ワタシのメモリには入っていない音声データが聴こえてくることがある。




『ご提供者様の記憶は──ザザ──引き継が────ザザザ──約80年程の──で緩や──痛みなく、個体の生命を終え──』



ブツッ。



「ママ」

「──はい、善。どうしましたか?」

「ピンポン、鳴ったよ……?」



善が小学生になり、もうすぐ一年が経とうとしていた時。

ここで暮らすようになってから、初めての訪問者が来た。











『よう陽葵。俺のことわかる?』



サングラスをかけて金髪、アクセサリーをジャラジャラと付けた男が、訪問者のカメラに映っていた。

なぜワタシがここに住んでいることを知ったのか、なぜワタシの元へ来たのか、この人は誰なのか。



「ママ……?」



善に不安そうな声を向けられてしまう。

今までこんなことは一度もなかったからだ。