今保育している善とペアリングしてから二年が過ぎると、彼は小さな足で部屋を駆け回るようになった。

その為、すぐに彼は姿を消してしまう。



「ないなーい」

「善、かくれんぼをしたいなら声を出さない方がいいです。しかし善が視界から消えると問題があるので隠れないでください」



普段から教育番組を流している為、善はワタシ以外の情報源からも遊びを学んでいる様子。

タッタッタ、と駆け回り、すぐに頭からベチンと転ぶ。

床にはカーペットが敷いてあるので、痛みはないはずだけれど。



「マ、マ、マ……マァマァァァァうあぁぁぁああ」

「人間の子供は頭が重いからすぐ転ぶんですよ。怪我はないですか?」

「びゃあああああああ」

「よしよし、また声が枯れてしまうので気を付けてください」



目からも鼻からも口からも体液を全力で振りまく彼をあやしながら、その顔を柔らかなタオルで拭った。

どさくさに紛れてムワリと香ったソレに、ワタシはまたオムツを取りに行った。