「何って、日葵を相手に話してるに決まってるだろ」

「……繁殖は諦めるということですか?」

「自分の子供を欲しがるだけが人間じゃねぇよ。恋愛なんてアンドロイドには難しい話かもしれねぇけど」

「恋愛……?」



おかしい、育ててきた上で何かを間違えたのだろうか。

アンドロイドを恋愛対象と認識してしまっているということ?

それはおかしい、ワタシは育児のみに特化した機械だというのに――。



「宵兄ちゃん、パパになるってこと?」



それまで、じっと口を挟まずにいた善の声が、横から聞こえた。

なぜ今の突拍子もない話を、善が理解してしまっているのか。



「宵兄ちゃんがパパになるなら、善も応援するよっ」

「善……?」



善も、ワタシが機械であることなんてとっくに理解しているはずの年齢なのに。

この二人はなぜ、そんなに……ワタシには恋愛において何のプログラムも組み込まれてはいないのに、恋愛なんて理解など出来るはずがないのに。

それに、この先のことだって――――。



「本当か善!?お前が応援してくれるなら百人力だな!!」