黒曜の戦場



「削る時もちゃんとヘラで固定しないと、グチャってなるから」

「削る……?」



……あ、例の、『削る』だ。

未夜くんは「あ」と思い出したように、原稿用紙にササッと手際よくトーンを貼り付けていく。

原稿には青色の色鉛筆か何かで指示が書いてあるようで、けれどその線の意味は今の私にはわからない。



その線より大きめに切られた、点の集まりでグレーに見えるトーンを丁寧に貼り付けて、ヘラで擦っていく。

角の方はもうトーンの形に原稿が凹んでるよね?ってくらいにグリグリと。

……あれ、割とこれ指先の力を使う作業なのでは?



「これ、アミトーン。点が均等に集まってて、影とか、雲とか、濃さを均一にしたい所に色を付ける」

「漫画だと縮小されてて気にしたこと無かったけど、原稿用紙のサイズ感だと点の集まりがしっかり見えるんだね」



原稿用紙のサイズはA4より大きくて……B4サイズかな?

トーンも同じくB4サイズで、原稿用紙を丸々覆えそうなサイズ感だ。



「この点の位置はなるべく、切り取る前のトーンの角度から変えないように原稿用紙に置いて」



はて、角度?