「なんだかんだ喧嘩しても、結局嫌になんてなれない。だってあの頃のいおも残ってるもの。同じようにまっすぐ私のこと見て、まっすぐ呼んでくれて。方向音痴なんてみてらんないし、下品だし相変わらず失礼だし、でも……」

「……」

「でもね、私結局、あいつのこと嫌いになんてなれないの」



みっちょんは気付かず、話続ける。

その手が柔らかく、みっちょんの頭を撫でると、「なによぅ」とみっちょんは顔を上げて、その人を見て固まった。



「は……?」

「なに、お前俺の事大好きじゃん」

「…………な、なんでいおがここに」



そう、なんとなんと。

みっちょんが話に夢中になっている間に、いおくん自ら教室に来てしまったのである。



「え、まっていつから?私何言った?」

「俺のこと惚れてるって言ってた」

「捏造しないでくれる?」



みっちょんの手を取ったいおくんは、優しくみっちょんの手を引き上げる。

つられて立ち上がった彼女を連れて、いおくんは教室を出ていこうとした。



「コイツ借りるわ」

「……は、はい、どうぞ」

「ちょっ」



ばしばしといおくんの背中を叩き付けるみっちょんを、そのままいおくんは連行して行ったけれど。

あれ、みっちょん本気で抵抗はしてなかったなぁ……。