「〆切前はピリピリするもんなんだけどさ、ここグレた奴らの集まりでしょ?時間管理出来る奴の方が少なくってね。体調管理とかも杜撰《ずさん》なんだよ」

「そんなんで原稿間に合うんですか?」

「夏休み最終日まで宿題が残ってて一気に終わらせようとするのと同じレベルで、ギリギリ朝方に仕上がる感じかなぁ」



なんでそんな切羽詰まるようなやり方をしてしまうんだ。

不良だからか、そうか……そうなの???

ほんとに???

どうにかスケジュール整えられない???



「俺ちょっとあっち叱ってくるから、行かないと」

「え」



あっち、とは、この扉の向こう側でトラブっている人たちの方へ行くということだろうか。

大丈夫?殴られちゃったりしない??

いっちばん偉い人、負けちゃったりしない???



「人を呼んでおいたから、その人に癒してもらってから作業に入ろうね」

「癒し……え?」



え?

この不良の溜まり場で?

癒し、とは???



扉の向こう側へと行ってしまった咲くんは、ぱたりとしっかりとその扉を閉めて。

数秒後には、その怒号が鳴りやんでいた……。