でも琥珀は色々と経験不足で、まだまだこういう時どう返したらいいかなんてことはわかっていなくて。

でもせっかく話してくれた未夜くんの気持ちは受け止めたくて。



「気遣いとかいらないから、今まで通り接してやって」

「……え?」

「あのことを話してお前の態度が変わるようなら、話したことを後悔するだろ、負担にさせたかもしれないって。だから」



今まで、通りに。

その発想はなかった。



でも、確かにそう思う。

未夜くんはとても優しくて、気遣ってくれる子だから。



「琥珀に話してくれたこと、後悔させたくないっ」

「なら態度を変えるな。話を否定しないでちゃんと聞いてやってりゃアイツもきっと楽に話せるようになる」



捲っていた本をパタリと閉じたリンくんが、琥珀をまっすぐにみつめて言う。



「お前だから引っ張り出せた未夜の本心だ。お前なりに大切にしてほしい。アイツは我慢しすぎる」



まっすぐ向けられるその瞳は、本当に未夜くんのことを心配してくれている、お兄さんのような瞳で。



「うん、変わらず一緒にいるよ。ありがとう、リンくん」



嬉しそうに微笑んだことに、彼自身は気付いているだろうか?

リンくんも、とってもとっても優しくていい人だ。

ちょっぴりお口は悪いけどね。