黒曜の戦場



アイスからの温室テンションで完全に昼間のことを忘れていた琥珀は、フラワーガーデンの出口に停まっていたいつもの送迎の車を見た直後には、既にガチンと緊張していました。

さっきまでるんるんとお土産袋を両手に持っていた琥珀は、ピシリと固まる。



車から降りてきた咲くんが口元だけ笑みを見せた時、琥珀は「あ、おわた」と、何かの終焉を迎えた気になりました。





そして、車に乗ってからだってそれは継続中であった。

だって。

だってほら、さ、咲くんさっき、ち、ち、ちゅ、



「パフェ食べたんだって?おいしかった?」

「ふぁい!!」



さっき、ちゅー……されちゃったじゃん!!?(※ほっぺに)



すっかりすっかり忘れていたけど、咲くん、琥珀にちゅーしたじゃん!!?(※ほっぺに)

前にもあったけど!!(※おでこに)

なんでそんなに普通でいられるの!!??

外国の人のスキンシップなの!!?



それとも咲くんからしたら琥珀はペットにスキンシップするようなものなの……?

そうだとしても琥珀は、琥珀は慣れてなんていないし、琥珀はこのなんともむず痒くて熱くなってくる気持ちをどうすればいいのか──。



「琥珀ちゃん?」

「ふぁい!!!」