聞いてもいいのか。
……でも、これだけは、せめて。
少し、緊張してしまう。
怒られないかな、甘えてるって言われないかな、大丈夫かな。
でも、きっと黒曜に着いたらもう、緊張で話せないと思うから。
それならせめて、最初に。
まだ無事でいる、今のうちに話してしまおう。
「9時-5時で、お願いできますか」
「ぶふっ」
今まで、ずっと黙っていた運転手さんが、急に吹き出した。
いや、仕事(?)の拘束時間のお話は大事でしょうよ。
「9時……はちょっと過ぎちゃうけど。5時に上がりたい?」
「いや、夜まで作業すると私たぶんバテます」
「いいよ、5時くらいにまた送ろう。それだけ作業して貰えるならすごく助かるけどね。なんてったってうちの奴ら一時間もつのもキツい奴ばっかりだから」
昨日の信号さんたちみたいなお話かな??
「あの、その人たちって、下の人たちなんですか?倒れた人とか……」
「うん、原稿用紙ボロボロにしない程度に消しゴムかけたり、はみ出さない程度にベタ塗れる奴らを選んではいるんだけど、根っこがヤンチャな奴らばっかりで集中力続かないし作業遅いんだよねぇ」



