「咲の部屋もそうでしょ、誰も入れない決まりになってる」

「で、でも琥珀はこの前寝かせてもらっちゃってたよ……!?あれ、いけないことだったのかなぁ……」

「いや……まぁ、黒曜のルールは咲だし、いいんじゃない?嫌だけど」

「嫌なの!!??」



未夜くんは少し不機嫌そうな顔して、琥珀から視線を逸らして下を向いた。



「琥珀が咲の色に染まるのは、俺は気に食わないよ」



咲くんの、色……?



「咲が黒曜の頭《ボス》だから、俺たちは逆らえない。でもそれだけじゃなくて、咲には人を導いていく強い力がある。勝てっこないなんて知ってる」

「……」



ふと、リンくんの説明してくれた話が頭を過ぎる。

『黒曜には頭《ボス》である咲、副長《アンダーボス》であるいおり、それ以下の序列はない。咲が消した』



咲くんには、黒曜のルールを変えてしまえるくらいの力がある。

それだけじゃない、たしかに人を導く力があるし、琥珀もそうして導かれてきた。

いつの間にか心の隙間に入り込んで安心できる存在になっていた咲くん。



「俺だって、咲が受け入れてくれなきゃ、家出なんて出来なかった。琥珀だって、アシスタントとして咲に見つかって、黒曜へ来たでしょう?」

「う、うん」