この人だって、いい人そうに見えて、実はすごくおっかない人かもしれない。



それ、でも。

それでも、怖くても、なぜだか気になってしまうんだ。

漫画……絵を描くという共通点があるだけ。

不良さんたちとなんて、共通点なんてひとつも見つからないし、この人だって偉い人ってだけで、何する人かなんて何も知らない。



何も、知らないけれど……私は昨日、危ない目に合わされることも無く、約束通りその日のうちに家に送ってもらった。

怖い所だけど、ほんの少しだけ、昨日よりは怖くなくて。

それより、彼らを知りたいと、興味を持ってしまっている自分がいる。

名前を知りたいだなんて、昨日はそんな余裕もなかったはずなのに、不思議だ。



「私は……これからもその、『黒曜』に、行くんでしょうか……?」



この人は、私のことをどう使うつもりなのか。

この数日だけの関係なのか、これから先の未来もあるのか。



「うーん……あまりにも馴染めないようだったら辞めてもいいし、たった一回助けた程度でこの先ずっと縛る気はないよ」



彼は、やっぱりどこか、生ぬるい。