琥珀のことはすぐ、からかってくるのにね。
みっちょんの前にいる時の顔は、すごく優しそうで、でもお口はいつも通りに悪いの。
「琥珀は、二人のことを応援してるってこと?」
背を伸ばしてぴしりと立つ、琥珀よりすこし高い目線。
今日もぶかぶかな黒いパーカーの手元は、ゲームを持ついつもと違ってカメラが握られている。
そんな未夜くんには、二人はどう見えてるんだろう。
みっちょんたちを応援、かぁ。
どうだろう。
「それは、みっちょんがそういう気持ちなんだって話さない限りは、琥珀の考えることじゃないかなぁって、思うの」
琥珀の瞳に映る二人は、素敵に見える。
けれど、そんな琥珀の気持ちを押し付けて、みっちょんを困らせたくはない。
二人がお互い、心の中でどう思っているのかなんて、琥珀にはわからないから。
「なんだろう……この気持ち」
「推し?」
「……あ、それピッタリかも」
推し……推す?うん、推す。
間違いなく琥珀は二人のことを推すよ。
陰ながら!推しているよっ!
両こぶしをぎゅっと握り締めて、琥珀はキリッとした顔で強く頷いた。



