すぅ……っと髪をすく指先が離れたと思ったら。



「トーン、付いてた」

「………………とーん」

「うん、前髪に。あ、肩にも」



そう言ってパッパッと払ってくれる優しい未夜くんに、緊張がドッとほぐれた。



それはトーンのかす、だ。

どうやったら髪や服にトーンかすが付くのか、未だに謎。



トーンの裏に付いている弱いのりで服に付いたり、静電気で引き付けたり、バネのようにびよんと飛んでくっついてきたり(?)、しているんだろうけれど。

結局、くっつく瞬間は気付いていないので、いつの間にか目の前トーンの欠片が現れたという状態で発見する。



トーンを使ったことの無い、ここに来た初期の頃ですら服について持ち帰っていたり。

カバンを開ければトーンかすがこんにちはしていたり。

どこからともなく奴は現れる。



「あ、ありがとう……」



まるで少女漫画でご定番のような、髪にふわりと触れられるシチュエーション……。

けれども付いてたモノはトーンかす!!

絵的に物足りない!!!



恥ずかしいやらツッコミたいやら、琥珀の心は複雑模様です。

でもまぁ、アナログ現場あるあるだよね!!
(他の現場しらんけど)