冷たかった声に、色が付く。

さっきまでの雰囲気からは一転して、また柔らかい声を向けてくれた咲くんにほっとして、緊張していた息が漏れた。



「うん、また……お話しようね」



そう言って咲くんは、私たちの横を通ってゲームセンターから出て行ってしまった。

未夜くんに連れられて外へ出ると、近くに車が停まっていて、その中にはいおくんもいた。



「よぉ。咲とは楽しめたか?」

「いお、くん?」

「俺はすぐ道に迷うからここから出るなって言われて待機してたぜ」

「それならなぜこんなところにまで来てしまった???」



確かに以前、そんなような話を聞いた覚えもあるけれど。

繁華街で迷子になっちゃうほど酷いの?逆に気になるんだが。



「いおりは地図読めないから」

「行きの景色と帰りの景色って違うだろ」

「それは同じ景色のはずなんだけどなぁ……」



三人で車の後部座席に座って、黒曜への道を辿っていた。

あぁ、この景色は、初めて咲くんと出会ってから黒曜に連れていかれた道と同じ景色だ。

初めて彼と出会った時のことを思い返しながら、騒がしい中、三人揃って車に揺られていた。