漫画も絵を描くけれど、全然違う。
あれは技術であり、魅せ方であり、物語への引き込み方である。
話に合わせたイラストをコマで割るだけじゃなく、スピード感やゆったり感すらも絵や構図で表現する。
伸び伸びと描いていられるはずもなく、時間に追われるスピード勝負。
けれど。
大変だし地道な作業だけれど、何人もの人と完成させた時の達成感は、決して一人では味わえないものだった。
「漫画と静物画は、思っていたよりもずっと違うものだった。同じ『絵を描くこと』なのに、技術も画材も表現も、全然違うんだもの」
まだ、漫画の工程全てに携わった訳では無い。
ペンも入れたことがなければ、キャラクターを描いたこともないし、まだまだ建物や自然物をペン先ひとつで描ける技量もない。
けれどそれは、その分まだまだ伸ばせる技術があるということでもある。
「琥珀ちゃん、なんだかんだで目がキラキラしているよ」
「え?」
「ちゃんと、楽しんでるね」
楽しんでる。
絵を描くことをまた、私は違う形で楽しめている。