どこだここ?



目覚めたばかりの琥珀ちゃんは困惑していた。

デジタル時計があって、20時半を過ぎているからそろそろ帰らないといけない。

壁に薄いオレンジ色の光がついているだけで、見覚えのない空間に一人ポツンと取り残されていた。



布団から起き上がってふわりと感じるのは咲くんの香り。

そういえば眠る前にも嗅いでいたような……というかなんで寝てたんだっけ。

ううん、と頭を抱えようとした時、ジャラりと手首を滑るモノに目が止まる。



黒曜、と、琥珀。

確か、そう、咲くんがプレゼントだって、つけてくれて。

そうだ、なんか頭が熱くなって、くらくらして眠くなってきて…………。



『覚えていて。俺がいっちばん最初に君を見つけたこと。君が欲しいということ』



ふと、頭の中で湧き上がって来た言葉は、咲くんの声で。



『君が欲しいということ』



「ふぁぁあぁぁぁぁ!!!」



飛び起きてベッドから出ようとしたら、足が布団に絡まってズテンと転び落ちてしまった。

な、な、な、なんだ今の!!!

妄想!?咲くんボイスで!?



欲しいって何!?

画力のことってことでOK!!??

なんっっっつう恥ずかしい妄想を!!

琥珀ちゃんたら!!!!