するりと指先から私の手首に移されていく輪っか。

数珠のように丸いその球は、大小違う黒色3個置きに金にも近い黄色が入って並んでいる。

少しの間、ボーッとそれを見つめていたけれど、これが琥珀色だということに気付いたら急激に意識が覚醒して来た。



黄色が琥珀色、とするとこの黒は──黒曜?



「え……な、なんで」

「黒曜に入ったお祝い」



にこり、笑うけれど。

そ、そんな……つまりそれって!



「まって、まって、咲くん!?こんな、貰えないよっ!!」



琥珀と黒曜、どっちも入っているブレスレットということ!!?

持つのも付けるのも恐れ多いよっ!?



「黒曜にいる印だから、これは付けていて欲しいんだよ」



そう言って咲くんがシャツの首元から出したのは、ひし形の真っ黒の石のネックレス。

ひし形をベースにした多面体になっているその石は、光の下で静かに艶やかに、輝いていた。



「これは俺の黒曜」

「……きれい」

「八角錐の面を重ねたような、綺麗なデザインでしょう?」

「これも、黒曜?」

「そう。俺の黒曜の証」