「どうしたの琥珀?」

「あ、いや……ちょっと、ここで待ってて?」



そうお願いしてから、するるんと華麗に体を扉の奥へと滑りこませ、すぐさま扉を閉じた。

今私の目の前にある光景を見せていいのか判断が付かなかったからだ。

琥珀の目の前には、今起きていることを何も気にしていないように見えるその人が、もすもすと一人でご馳走を食べている。



一人で。

このパーティー化した空間から一人外れたここで。



「……雨林さん、何でボッチ飯してるんですか」



もすもす、サラダを無言で食べていた彼の瞳だけが、スッとこちらを見上げる。

葉っぱ頬張ってうさぎさんみたいでちょっと可愛いかもしれない……!!!!



本に囲まれたその空間は、紛れもなく乾杯前まで私たちがいたお部屋だ。



「ウザ」



そうポツリと一言だけ零し、再び彼は食事を再開する。

なんというマイペースなんだ……。



「君の歓迎会でしょ。なんでここに入って来るの」



もそもそ、今度は唐揚げを頬張る雨林さんは、どうやらその手を止める気はないようだ。