その人の視線は、私の大量に入った新入りちゃんたち(画材)を見つめていて、恐らく私と同じように、この一瞬で私も美術系の人間なのだと察したのだろう。

状況は……使われている画材たちと、あの雑誌の厚みのおかげで大体は読めていた。



なぜこんな場所で、なぜごつい人たちが集まって、下から光を当てられるトレース台の上で、何人もが同じような作業をしていたのか。

あの厚みのある雑誌は何だったのか。



「漫画、ですか」



不良が集まって、漫画を描いている……だと?

しかも〆切とか言ってたから、結構ガチで。



「話が速ぇ。指示は原稿に資料と一緒にまとめてある。描け」

「あの、技術的なテストみたいなものは……」

「あっちの部屋にもう一人描ける奴がいる。そいつに聞け」



そんなに切羽詰まってんの???



私はこの日、初めて不良の溜まり場とやらに足を踏み入れ──

なぜかそこで、いつの間にやらたくさんの小物を描いていた。