私の手に降りて来た指先が、キュッと私を握り締めて、力をくれる。

未夜くんは他の人と違って、二階の人たちを怖がらない。

内心はどうなのか知らないけれど、全然恐れているような感じを出さない。



「……来てくれる?」

「大丈夫、俺いれば琥珀、怖くないよ」



そう言って、私が安心出来るようにふわりと笑いかけてくれる天使。



「未夜、くん……!!」



怖い、けれど心配、でもやっぱり怖い。

そんな気持ちがせめぎ合う中で、勇気をくれる未夜くん。

エンジェルスマイルが眩しいぜ。



「ただ、ひとつだけ」

「なに……?」



なにかお願い事があるのかと少し身構えていると。



「たまごやき、ひとつ食べてからでいい?」



どうやら未夜くんはここまでたまご焼きを我慢してくれていたけれど、我慢出来なくなっていたらしい。

いいよ、お食べ。

私は未夜くんにお箸を渡した。



くっっっそかわいいなぁ、もう!!!!



「未夜さんて……こんな人を甘やかす方でしたっけ……」

「いや、昨日初対面なはずで、既に手懐けられていた」

「なん……だと……」

「琥珀さん何者なん……」



コソコソと話し合う下々ーズを背に、私たちはいざ、いおりさんの元へとおにぎりを届けに行く。