「すいません...すいません...」
人混みをかき分けながら、高級時計をつけている人を探す。
さすがにすぐには見つからないか....。
もうこの駅を出てしまっている可能性も考えたけど、私の直感的にまだいるような気がしていた。
あの人もサラリーマンだ。
痴漢で遅刻するなんてことは絶対に避けたいはず。
となればまた会社にむかえる電車に乗るはず。
どこかの路線の駅にいる可能性が高いか....。
なんて名探偵とは程遠い推察をしながら、探していた。
大丈夫。ここは駅構内だから駅員さんだっている。
困ったら助けを求められる人がいる。
そう心に言い聞かせ、探し回る。



