【完】彼氏(仮)とあま~い偽装恋愛




ここ、いつもたくさん降りる大きな駅だ...!



そう気づいた時には目の間のサラリーマンが私の手を振り払っていた。



「あっ!!」



再度掴む間もなく、人を押しのけて去っていく。



しまった、やられた....。



ここがいつもの駅だと気づけば方法はもっとあったのに。



とりあえず、電車内に残っている熊鷹高校の彼女に声をかけた。



「あ、あの....大丈夫ですか?」



なんてありきたりな言葉しか浮かばず。



「..は、はい。ありがとうございました....」



見た目にぴったりな綺麗な声は少し震えていた。



痴漢にあって怖くないわけないよね。



それでも必至に笑顔を浮かべる彼女を見て、先程の怒りがまたわきあがってきた。