ふぅーと息を吐き、気合を入れなおす。
そしてサラリーマンの腕に一直線に手を伸ばした。
自分よりかなり太い腕を掴んだ。
「.....!?」
いきなり腕を掴まれたサラリーマンは、とても驚いて私の方を振り向いた。
その表情は戸惑い、驚き、困惑、色々な感情が混ざり合っているように見えた。
こんな満員電車だし見つかるとは思ってなかったんだろうな。
「あなた、自分がやってしまったことの自覚ありますよね?」
電車内には人がたくさんいるから、あまり大きな声では話せない。
被害者の彼女が注目されるのは避けたいから。
1番傷ついているのは彼女なんだ。
声も出せないほど怖い中で、私に助けを求めてくれた。



