「私達、まだお互いに名前も知らないのに....」
あの日変なことをお願いした人の名前も聞かなかった。
「そうだね。名前聞かなくてもあの日は楽しかったよ」
相変わらず綺麗な顔で相変わらず優しい人だと思った。
彼のことは何も知らないのに、彼の柔らかさに絆されているのかな。
「改めて土曜日は本当にありがとう。私は烏丸高校2年生の下平季澄って言います」
遅すぎるけど、改めて自己紹介をした。
「わざわざありがとう。俺は熊鷹高校2年の三宅蒼都。よろしくね」
「....同級生だったんだ。年上かと思ってた」
少し驚き。
「それは俺が老けてるって意味かな?」



