「遠い人は大変ね。季澄見てると思うと本当によく通ってるわよね」
と感心するように言われる。
「まぁ、自分で決めたことだから」
この学校を選んだのは両親の勧めとかではなく、私のわがまま。
それでも文句を言わず高い交通費を払ってくれている両親のためにも、行かなきゃと思うんだ。
「おっはよー季澄、凛子!!」
私達の空間を割くような明るくて大きな声。
振り向かなくたって誰だかすぐにわかる。
「おはよ、智」
振り向くと想像した通りの人物が立っていた。
「おはよう。相変わらず朝から元気ね」
私達と気兼ねなく話してくれる彼の名前は武藤智。
私の大事な男友達。



