「お話とはなんでしょうか....」
きっといい話じゃないことは、この空気感から察せられる。
何か悪いことを言われると分かっているから、こんなにも心がざわめくの?
冷汗が流れる。
この圧迫感に少しでも気を抜いたら窒息死させられてしまいそう。
「彼女、海野星加さんはうちの蒼都の婚約者なんです」
「こん...やく者...?」
蒼都くんの、婚約者...?
まだ一言も言葉を発していない彼女が初めて私と目が合った。
私とは全然違う大きくて黒い瞳に吸い込まれそうになる。
言葉を交わしたわけじゃないのに、全てを見透かされてしまった気がした。
心臓がドクンと嫌な音をたてた。



