「智の言う通りもう放課後だし、季澄も帰っていいわよ。あたしに付き合って残ることないし」
「私、この後予定ないし残るよ?」
このままストレートに家に帰るだけだし。
「秋になって暗くなるのも早くなったから、帰りなさい。あたしが心配になるから」
「....はい」
逆らうことはできず、うなずいてしまった。
「じゃあ私は帰るけど、凛子も早めに帰ってね」
「分かってるわよ。じゃあまた明日ね」
「また明日」
挨拶をして教室を出た。
廊下にはほとんど生徒がいなくて、不気味なくらいシーンとしていた。
校庭には部活している人達がいて、にぎやかなのに校舎内は静か。
とても近い距離なのに正反対の空気が不思議だった。



