【完】彼氏(仮)とあま~い偽装恋愛




忘れたはずの声....。



忘れるように何度も願い、心の奥底に閉じ込めたはず。



何重にも鍵をかけたはずの箱に閉じ込めた。



それなのに、一瞬で鍵ははずされる───



自分がどんな顔をしているのか、ちゃんと立てているのかもわからなくなる。



封印したはずの景色が嫌でも蘇ってくる。



2度と思い出さないとあの時、誓ったはずなのに...。



「やっぱ季澄じゃん!久しぶり!」



何が久しぶりだ、そう言ってやりたいのに口が動かない。



今すぐにこの場から立ち去りたい、なのに体が動かない。



近づいてきた男の手が肩に乗った瞬間、全身に嫌な気が巡った。



封印したはずの記憶が一気に溢れだしてきたのが分かった。