何で、こんなところに令月とすぐりがいるのか。
こいつらの夜間外出は、まぁいつものことだ。
そして、非常時での危機察知能力は、この二人以上に高い者はいない。
恐らく、深夜に侵入者の気配を感じ取り、その跡を追ってきたのだろう。
二人の目は、完全に暗殺者のそれだった。
敵。侵入者。学院に仇為す者。
そんな存在を、二人の元暗殺者は許さない。
二人共、見ず知らずのこの男を殺すことに、躊躇しないだろう。
でも。
「待て。令月、すぐり」
引き金を引くには、まだ早い。
「…何を?」
答える令月の声があまりにも冷たくて、ぞっとしてしまいそうになったが。
「生徒が人質に取られてる可能性がある。下手に手を出すな」
まずは、生徒の安全を確保しなければ。
すると。
「生徒などどうでも良い」
令月とすぐりに、命を握られた状態で。
平然とした顔で、そいつはそう答えた。
「俺の要求は一つだけだ。…賢者の石を返せ」
やはり。
生徒を人質にするつもりはないようだ。
あくまで、目的は賢者の石のみ。
なら、話は楽だな。
「さっきの質問を、もう一度するよ。君は何者なんだ?何故、賢者の石を狙う?」
「…」
シルナが尋ねるも、男は答えない。
そして、返事の代わりとばかりに。
懐に持っていたであろう、欠片となった賢者の石が光った。
「…っ!」
男の四肢を捕らえていた、すぐりの糸が消えてなくなった。
賢者の石の、魔封じ能力だ。
そういうことか。賢者の石の能力を使いこなすこの男には、通常の魔法は通用しない。
しかし。
「…僕のは魔法じゃないから、消えないよ」
令月の小太刀は、魔法によって作ったものではない。
そもそも令月は、力魔法のみしか使えない。
そして令月ならば、力魔法がなくても、小太刀の腕だけで、この男と充分に渡り合えることだろう。
更に、すぐりのサポートもある。
糸が通じないと見るや、すぐりは自前のクナイを両手に構えた。
間違いなく、あのクナイには毒が塗ってある。
魔法を封じたとしても、この二人の連携を相手にするのは、さぞや辛かろう。
しかし、それでも男は、まるで動じなかった。
「…ならば、俺ももう一度同じことを言う。…賢者の石を返せ」
毅然として、そう繰り返した。
こいつらの夜間外出は、まぁいつものことだ。
そして、非常時での危機察知能力は、この二人以上に高い者はいない。
恐らく、深夜に侵入者の気配を感じ取り、その跡を追ってきたのだろう。
二人の目は、完全に暗殺者のそれだった。
敵。侵入者。学院に仇為す者。
そんな存在を、二人の元暗殺者は許さない。
二人共、見ず知らずのこの男を殺すことに、躊躇しないだろう。
でも。
「待て。令月、すぐり」
引き金を引くには、まだ早い。
「…何を?」
答える令月の声があまりにも冷たくて、ぞっとしてしまいそうになったが。
「生徒が人質に取られてる可能性がある。下手に手を出すな」
まずは、生徒の安全を確保しなければ。
すると。
「生徒などどうでも良い」
令月とすぐりに、命を握られた状態で。
平然とした顔で、そいつはそう答えた。
「俺の要求は一つだけだ。…賢者の石を返せ」
やはり。
生徒を人質にするつもりはないようだ。
あくまで、目的は賢者の石のみ。
なら、話は楽だな。
「さっきの質問を、もう一度するよ。君は何者なんだ?何故、賢者の石を狙う?」
「…」
シルナが尋ねるも、男は答えない。
そして、返事の代わりとばかりに。
懐に持っていたであろう、欠片となった賢者の石が光った。
「…っ!」
男の四肢を捕らえていた、すぐりの糸が消えてなくなった。
賢者の石の、魔封じ能力だ。
そういうことか。賢者の石の能力を使いこなすこの男には、通常の魔法は通用しない。
しかし。
「…僕のは魔法じゃないから、消えないよ」
令月の小太刀は、魔法によって作ったものではない。
そもそも令月は、力魔法のみしか使えない。
そして令月ならば、力魔法がなくても、小太刀の腕だけで、この男と充分に渡り合えることだろう。
更に、すぐりのサポートもある。
糸が通じないと見るや、すぐりは自前のクナイを両手に構えた。
間違いなく、あのクナイには毒が塗ってある。
魔法を封じたとしても、この二人の連携を相手にするのは、さぞや辛かろう。
しかし、それでも男は、まるで動じなかった。
「…ならば、俺ももう一度同じことを言う。…賢者の石を返せ」
毅然として、そう繰り返した。


