一瞬で、俺もシルナも臨戦態勢に入った。
相手に敵意があるのは、その目を見れば一目瞭然だった。
…そちらから来てくれるとはな。
令月達が言っていた通りだ。
こちらからお前を探す手間が省けたよ。
ここぞとばかりに、聞かせてもらおうじゃないか。
だが、今はそんなことよりも。
「…私の生徒達に、何かしたの?」
シルナが、凍りつくような冷たい声で尋ねた。
普段のシルナからは、想像も出来ないほどだ。
それだけ、重要なことだから。
シュニィも言っていた。俺達の弱点。
俺達は、生徒を人質にされたら動けない。
対策は考えてあるが、イレースやナジュ達がいないこの状況で、複数人の生徒を人質にされたら。
俺達と言えど、少々キツいものがあるぞ。
しかし。
「…生徒…。この学院の生徒のことか」
男は、呟くように言った。
この言い方…。生徒を人質にするつもりはないのか?
いや、まだ警戒を解くには早い。
「お前…一体何者だ?何故賢者の石を集めている?」
「それはこちらの台詞だ。よくも、神聖なる石を卑劣な暴力の為に…!」
と、謎の男が怒気を含んだ声で、こちらに凄んできた。
が。
彼は、そのまま一歩も動かなかった。
いや…その言い方は違うな。
動けなかったのだ。
何故なら。
「…令月…すぐり…」
俺でさえ、見えなかった。
目視が追いつかないほど、一瞬の出来事だった。
いつの間にか、目の前に令月とすぐりがいた。
二人共、闇に溶けるような黒装束を身に着けていた。
二人の仕事着だ。
令月は両手に小太刀を持ち、いつでも男の首を刈り取れるよう、首筋にピタリと小太刀の刃を当てていた。
一歩でも動けば、令月の小太刀の錆にされることだろう。
そして、すぐり。
すぐりは両手に糸を絡ませ、男の両手足を拘束していた。
更に、細く透明な糸が、男の首を一周していた。
すぐりが少しでも力を入れれば、男の首は胴体と泣き別れだ。
…これが、元『アメノミコト』、『終日組』の暗殺者。
そして二人の、流れるような一連の連携は、見事と言う他なかった。
こんなのに狙われたんじゃ、生きて明日の陽を拝めまい。
つくづく、この二人を手放した鬼頭夜陰が愚かに見える。
相手に敵意があるのは、その目を見れば一目瞭然だった。
…そちらから来てくれるとはな。
令月達が言っていた通りだ。
こちらからお前を探す手間が省けたよ。
ここぞとばかりに、聞かせてもらおうじゃないか。
だが、今はそんなことよりも。
「…私の生徒達に、何かしたの?」
シルナが、凍りつくような冷たい声で尋ねた。
普段のシルナからは、想像も出来ないほどだ。
それだけ、重要なことだから。
シュニィも言っていた。俺達の弱点。
俺達は、生徒を人質にされたら動けない。
対策は考えてあるが、イレースやナジュ達がいないこの状況で、複数人の生徒を人質にされたら。
俺達と言えど、少々キツいものがあるぞ。
しかし。
「…生徒…。この学院の生徒のことか」
男は、呟くように言った。
この言い方…。生徒を人質にするつもりはないのか?
いや、まだ警戒を解くには早い。
「お前…一体何者だ?何故賢者の石を集めている?」
「それはこちらの台詞だ。よくも、神聖なる石を卑劣な暴力の為に…!」
と、謎の男が怒気を含んだ声で、こちらに凄んできた。
が。
彼は、そのまま一歩も動かなかった。
いや…その言い方は違うな。
動けなかったのだ。
何故なら。
「…令月…すぐり…」
俺でさえ、見えなかった。
目視が追いつかないほど、一瞬の出来事だった。
いつの間にか、目の前に令月とすぐりがいた。
二人共、闇に溶けるような黒装束を身に着けていた。
二人の仕事着だ。
令月は両手に小太刀を持ち、いつでも男の首を刈り取れるよう、首筋にピタリと小太刀の刃を当てていた。
一歩でも動けば、令月の小太刀の錆にされることだろう。
そして、すぐり。
すぐりは両手に糸を絡ませ、男の両手足を拘束していた。
更に、細く透明な糸が、男の首を一周していた。
すぐりが少しでも力を入れれば、男の首は胴体と泣き別れだ。
…これが、元『アメノミコト』、『終日組』の暗殺者。
そして二人の、流れるような一連の連携は、見事と言う他なかった。
こんなのに狙われたんじゃ、生きて明日の陽を拝めまい。
つくづく、この二人を手放した鬼頭夜陰が愚かに見える。


