「あああ〜」

「うぉえ〜。三半規管鍛えられる〜」

「うるせぇ。黙って回れ」

「あと469回転です」

「あわわわ…。ふ、二人共大丈夫…?」

「いやー、恐ろしい拷問ですね。僕にはとても耐えられそうもないです」

「別に大丈夫だよ。『アメノミコト』の拷問に比べたら、この程度…」

「そーそー。可愛いもんだよね〜。…おぇ」

「…あなた達、全く反省の色が見えませんね。…あと500回転追加しましょうか?」

「お、鬼だ…」

…え、えぇと。

…何だかお取り込み中のようなので、私、帰った方が良いでしょうか?

部屋の中では、二人の生徒が宙吊りにされていた。

比喩ではなく、本当に宙吊りになっていた。

あれは、元『アメノミコト』の暗殺者…。令月さんとすぐりさんですよね。

その二人が全身をロープでぐるぐる巻きにされ、天井から逆さまに吊るされて。

羽久さんが、てるてる坊主のような二人を、棒でつっついてぐるぐる回転させていた。

そして、二人が回転した回数を、イレースさんがカウンターでカチ、カチ、と数えていた。

あと469回って言ってましたよね…。一体何回から始めたんでしょう…?

そんな異様な光景を、ナジュさんは半笑いで指差して眺め。

学院長先生と天音さんだけが、おろおろと、拷問される二人を気遣っていた。

…えぇと。

…やっぱり帰った方が良いでしょうか?

取り込み中ですよね、明らかに…今…。

「ん?別に大丈夫ですよ」

「えっ?」

ナジュさんが、私の来訪に気づいてくれ。(と言うか、心を読んだんでしょうか?)

私は、帰るに帰れなくなった。

「済みませんね〜。今拷問の最中なんですよ」

「え、えぇと…それは…見たら分かりますね」

明らかに拷問ですね。

お二人共、ミノムシのような姿でくるくる回されている。

見ているだけで、私も三半規管が狂って吐き気を催しそうです。