そして、何より俺達は看護師という、医療に携わる職種なんだろう?
酷いことを言うようだが…医療に携わる者なら、患者が一人亡くなったくらいで…取り乱してはいけない。
この病院では、毎日のように誰かしらが死んでいる。
少女一人だけではない。
だから俺達は、少女が一人亡くなったくらいで…同情して泣いたりしてはいけないのだ。
しかし、そう簡単に割り切れないのが人の情と言うもの。
だからこそ後輩は泣いているし、納得することも出来ないでいる。
…まぁ、無理もないか。
昨日まで…こんなにいきなり亡くなるとは、誰も思っていなかった。
彼女に死の兆候は見られなかった。
本当に、突然の死だったのだ。
「うっ…うぅっ…」
「…」
ベッドに縋り付くように啜り泣く後輩を、俺はしばし見つめていたが。
やがて、俺は後ろを振り向いた。
さっきからずっと、視線を感じていた。
誰かの視線。
俺はずっと、この世界を、誰かの人生の追体験だと思っていた。
問題は、それが誰の人生か、という点だ。
あまりに短い人生を、病院という小さな世界しか知らず終えた、この少女か。
それとも、そんな少女の傍らで、誰よりも寄り添ってきた…ここで慟哭している、この後輩か。
そのどちらかだろう、と。
後者だと思っていたが、どうやら違っていたようだ。
「…お前は、この娘の兄か」
「…そうだ」
少女の、本物の「お兄ちゃん」。
少女が最後に、描きかけの似顔絵を残していた。
月に一度かニ度しか、顔を見せることが出来ず。
しかしそれでも、遠く離れていながら、誰よりも少女のことを思い続けていた存在。
そして少女もまた、この兄のことを一番慕っていた…。
だからお前は、俺にこの世界を見せたのだろう?
自分の最愛の妹が、どのような末路を辿ったのかを。
「…俺の無念が。妹の無念がどれほどのものだったか、お前に分かるか?」
彼は、憎しみのこもった目でこちらを睨んだ。
酷いことを言うようだが…医療に携わる者なら、患者が一人亡くなったくらいで…取り乱してはいけない。
この病院では、毎日のように誰かしらが死んでいる。
少女一人だけではない。
だから俺達は、少女が一人亡くなったくらいで…同情して泣いたりしてはいけないのだ。
しかし、そう簡単に割り切れないのが人の情と言うもの。
だからこそ後輩は泣いているし、納得することも出来ないでいる。
…まぁ、無理もないか。
昨日まで…こんなにいきなり亡くなるとは、誰も思っていなかった。
彼女に死の兆候は見られなかった。
本当に、突然の死だったのだ。
「うっ…うぅっ…」
「…」
ベッドに縋り付くように啜り泣く後輩を、俺はしばし見つめていたが。
やがて、俺は後ろを振り向いた。
さっきからずっと、視線を感じていた。
誰かの視線。
俺はずっと、この世界を、誰かの人生の追体験だと思っていた。
問題は、それが誰の人生か、という点だ。
あまりに短い人生を、病院という小さな世界しか知らず終えた、この少女か。
それとも、そんな少女の傍らで、誰よりも寄り添ってきた…ここで慟哭している、この後輩か。
そのどちらかだろう、と。
後者だと思っていたが、どうやら違っていたようだ。
「…お前は、この娘の兄か」
「…そうだ」
少女の、本物の「お兄ちゃん」。
少女が最後に、描きかけの似顔絵を残していた。
月に一度かニ度しか、顔を見せることが出来ず。
しかしそれでも、遠く離れていながら、誰よりも少女のことを思い続けていた存在。
そして少女もまた、この兄のことを一番慕っていた…。
だからお前は、俺にこの世界を見せたのだろう?
自分の最愛の妹が、どのような末路を辿ったのかを。
「…俺の無念が。妹の無念がどれほどのものだったか、お前に分かるか?」
彼は、憎しみのこもった目でこちらを睨んだ。

