神殺しのクロノスタシスⅣ

…食事の後。

僕は女中に付き添われて、自分の部屋に返された。

自分の部屋と言っても、僕には見覚えのない部屋でしかない。

部屋はとても広くて、調度品も豪華だった。

踊れそうなくらい広いよ。ここ。

いかにも高そうな花瓶には、美しい切り花が活けられていたし。

宿みたいに、すぐにでも眠れるよう、敷布団が床に敷いてあった。

布団も高そう。

僕、ゴザの方が寝心地が良いんだけどな…。

「お坊ちゃま、入浴の支度が出来ております。すぐ入られますか?」

女中が、そう声をかけてきた。

入浴?あぁ、お風呂ね。

「分かった。行くよ」

「では、お付き添いさせて頂きますね」

笑顔の女中に連れ添われ。

今度は、風呂に連れて行かれた。

何でもかんでも、至れり尽くせり。

これでは、正しく良いところのお坊ちゃまだ。





…ちなみに、浴室も凄かった。

浴室って言うか、あれはもう、温泉だった。

露天風呂まで付いていて、本当に何処かの旅館みたいだった。