僕が、居候させてもらっている家を出て、村の外を自由に歩き回れるようになったのは。
川でどんぶらこしてから、二日後のことだった。
どうやら左足首の怪我は、骨折ではなく、ただの捻挫だったようで。
まだ痛みはあるものの、歩けるようになった。
…と、いうのも。
厄介になっている家のご主人が、わざわざ森から木を切ってきて、お手製の松葉杖を作ってくれたのだ。
本当に、至れり尽くせりだ。
例の不味い薬湯も、ちゃんと三食飲ませてくれましたよ。
ありがとうございますね。
この家の人は、実に馬鹿親切で、疑うということを知らない。
僕としては有り難いのだが、しかしこんなに無警戒で良いのかと、逆に心配してしまった。
…の、だが。
「あぁ、あんたかい、川辺に倒れてたっていうのは?」
「気の毒だね。大丈夫だった?」
「しかも、記憶がないそうだな。本当に気の毒になぁ」
僕が松葉杖をついて、村の中を歩くと。
通りすがる村人皆が、代わる代わる僕にそう声をかけてきた。
川でどんぶらこしてから、二日後のことだった。
どうやら左足首の怪我は、骨折ではなく、ただの捻挫だったようで。
まだ痛みはあるものの、歩けるようになった。
…と、いうのも。
厄介になっている家のご主人が、わざわざ森から木を切ってきて、お手製の松葉杖を作ってくれたのだ。
本当に、至れり尽くせりだ。
例の不味い薬湯も、ちゃんと三食飲ませてくれましたよ。
ありがとうございますね。
この家の人は、実に馬鹿親切で、疑うということを知らない。
僕としては有り難いのだが、しかしこんなに無警戒で良いのかと、逆に心配してしまった。
…の、だが。
「あぁ、あんたかい、川辺に倒れてたっていうのは?」
「気の毒だね。大丈夫だった?」
「しかも、記憶がないそうだな。本当に気の毒になぁ」
僕が松葉杖をついて、村の中を歩くと。
通りすがる村人皆が、代わる代わる僕にそう声をかけてきた。


